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私にもできるカウンセリング 第1回

記事公開日:2015年05月24日

人は誰でも、こころの中に悩みや苦しみを持つものですが、もし傍らに信頼できる人がいて、その人にこころの内をぶつけることができるなら、こころの負担はずいぶんと軽くなるものです。カウンセリングは、そんな相手の話にまずしっかりと耳を傾けるということから始まります。しかし、多くの人たちのこころは固く、その胸中は大変に複雑であることを念頭におかなければなりません。初対面のカウンセラーを前にして緊張したり自分の気持ちを十分にことばで伝えることができなかったりする人も多いのです。

そこでカウンセラーとしては、その人の気持ちにそって、焦ることなくその話にしっかりと耳を傾けること、すなわち「傾聴」ということがなによりも重要となってくるのです。

最近では「傾聴ボランティア」ということばを耳にするようになりました。それは主として、がん患者や施設で暮らす高齢者の人たちの話をしっかり聴いてあげようというボランティア活動です。彼らは病気や障害、あるいは高齢のために生じるさまざまな苦悩をかかえていると想像できます。ある時は孤独感に襲われたり、時には死の不安を身近に感じることも多いと思われます。このような人たちのことばに、まずしっかりと耳を傾けることはとても大切なことで、それは結果として癒しとなり、生きる意欲へとつながっていくと考えられます。これはまさにカウンセリングの第一歩であるといえましょう。

※本原稿は、日蓮宗ビハーラ・ネットワーク平成16年6月に掲載した「私にもできるカウンセリング (1)」をそのまま転載しています。

※本原稿は、日蓮宗ビハーラ・ネットワーク加入の僧侶の方向けに執筆したものです。適宜、皆様の環境に読み替えてお読みください。